アートに囲まれた異空間BAR『Art Dining DOWN』

お話を聞いた人

上原直人さん

若者が集う街、西心斎橋アメリカ村の地下で賑わいをみせるバー『Art Dining DOWN』、オーナーの上原直人さん。「アート」と「バー」という独特な空間を演出する上原直人さんの、お店を始めるきっかけから、店内のこだわり、これからの思いをキリトリます。

ルーツはイギリスで出会った
“あるお店”

鳥取県の中学を卒業後、高校入学を機に大阪に出てきました。幼い頃、両親とよく大阪に遊びにくることがあり、その頃から大阪の雰囲気が好きだったんです。高校卒業後は、服飾の専門学校に通いました。でも、服は作るより、買うのが楽しいと気付いて（笑）。だから、専門学校卒業後は服飾関係では就職せず、そのままイギリスに留学したんです。

イギリスのカルチャーが好きだったので、それを肌で感じたいと思い、1年半ほど留学しました。そこで出会った“ある飲食店”に一目惚れしてしまったんです。そのお店のオーナーが、好きなアート作品を飾って、好きな音楽を流して、その空間がすごく格好良くて。そのとき、「いずれ僕も日本でこのようなお店をしたい」と思ったのが、最初のきっかけでした。

飲食店、バーでの下積みを経て、
『Art Dining DOWN』が誕生。

日本に帰ってきてからは、3年間ほど飲食店で働かしてもらい、25歳のときにとある先輩から、「バーの店長をやってみないか」という誘いがあったんです。そのときの環境に満足しているわけではなかったので、チャレンジしてみようと思い、引き受けました。けっこう軽いノリで（笑）。それがバーのきっかけです。

ただ、最初は本当に大変でした。場所は西区の新町でしたが、雑居ビルの3階という過酷な環境の中、お酒も詳しくなかったので、お客さんに作り方を教えてもらったりしながら（笑）。でも、今思えばそれがいい経験だったと思います。なので、チャンスをくれた先輩には感謝しています。そして、バーの楽しさを知ってしまったことで、自分のお店をやってみたいという欲が出てきて、1年後には今の『Art Dining DOWN』をオープンさせました。

『自分の部屋に遊びにきてもらっている』という感覚

イギリスで出会ったあのお店に憧れがあったので、好きなアート作品を飾って、好きな音楽を流して、このお店には僕が好きなものしかありません。なので、お店に来てもらっているというよりは、『自分の部屋に遊びに来てもらっている』という感覚なんです。

アート作品は、イギリス時代から集めてきたものを飾っており、今でも数年に一度、海外へ買い付けに行ったりします。始めは、好きな海外バンドのレコードやCDジャケットのアートワークって誰が描いているのだろうと調べて、そのアーティストのアート作品を集め始めたのがきっかけです。今思えば、僕の趣味は音楽を軸に、そこからいろいろ派生しているのかもしれません。

希少なアートに囲まれた、
実はとても贅沢な空間。

お客さんからよく、このお店に飾っている作品のことをポスターと言われるのですが、実はポスターではありません。ここに飾っている作品にはすべて、アーティストのサインとエンボスが入っています。例えば、「3／60」と書いている作品は、世界に60枚しか刷られていない作品の1つということです。よく百貨店などでアート展をやっていますが、アート展では作品を見ることしかできないですよね。このお店だと、お酒を飲みながら、ご飯を食べながら、アートを楽しむことができる。実はとても贅沢な空間だと思っています。

コロナ禍で、
フードをアップデート。

新型コロナウイルスの影響で、夜の営業の自粛要請があったとき、今まで経験のないランチ営業をやろうとなりました。でも、アメ村というエリアのため、特に平日のランチタイムはお客さんがあまり来ず、結局2カ月間ぐらいでランチ営業は諦めてしまいました。ただ、その中でも得たものがありました。フードのクオリティを格段に上げることができたんです。もともとフードはやっていましたが、どうせランチ営業をするならと思い、スタッフと共にフードに力を入れ直しました。そこから、飲み目的ではなく、ご飯目的で来ていただけるお客さんも増えたんです。それが、コロナ禍で大きく変わったことだと思います。

おすすめは「フィッシュ＆チップス」です。イギリス留学のときに食べたフィッシュ＆チップスが忘れられず、あのときの味を再現しよう思い作ったメニューです。あと、新メニューの「ディープディッシュピザ」もおすすめで、シカゴ風ピザとも呼ばれるシカゴ発祥のピザです。プロのパン職人とケーキ職人に来てもらい、生地の作り方を教えてもらうなどしたほど、こだわりのメニューなんです。

実は、このディープディッシュピザをメインにした、昼のお店もやりたいと思っているんです。場所はまだ決まっていませんが、やっぱりアメ村が好きなので、このエリアでやれれば嬉しいですね。自分にプレッシャーをかける意味でも、来年（2023年）オープンとここで言っておきます（笑）。

以前のように、
色んな国籍の人が集まる場所に。

お店としては、大阪・関西万博を機に、また外国人の方にたくさん来てもらいたいと思っています。コロナ禍になる前は、お客さんの半分以上が外国人という日もあるぐらいでした。いまでも、帰国したお客さんから連絡があったりもします。徐々に外国人のお客さんは増えていますが、2025年の大阪・関西万博の頃には、前みたいに色んな国籍の人が集まる場所になっていれば嬉しいです。

大阪の「中継地点」のような
存在になりたい。

国籍や年齢、性別を問わず、いろんな人が交わる「中継地点」のような存在のお店になりたいんです。ここに来ると誰かに会える、何かがつながり、それが広がっていく。そんなふうに思ってもらえるお店に。僕も普段から、このお客さん同士は気が合いそうだなとか、仕事につながりそう、共通点がありそうなどと思ったら、繋げるように心掛けたりしています。

あと、お客さんも大切ですが、スタッフがいないと成り立たないので、スタッフもその交わりの中で一緒に楽しめるお店であればいいなと思います。最後に、女々しいことを言ってしまいますが、できることなら今いるスタッフメンバーとずっと一緒にやっていきたいです（笑）。

紹介したお店

Art Dining DOWN

アクセス

地下鉄御堂筋線なんば駅25番出口　徒歩3分／地下鉄御堂筋線心斎橋駅7番出口　徒歩5分

住所

大阪府大阪市中央区西心斎橋２－４－１７ＦＡＲＯ難波ビルＢ１Ｆ Google Map

電話番号

06-6212-3866

営業時間

18：00～閉店まで

定休日

無休（年始1/1～1/3はお休みを頂戴しております）